熱分解GC/MSの原理とアプリケーションについて
概要
熱分解GC/MSは、試料導入部に熱分解装置を設置したガスクロマトグラフ質量分析計です。
複雑な前処理が必要であった高分子材料についても、熱分解装置でサンプルを加熱分解することにより前処理無しでGCに導入して分析を行うことができます。
また、熱分解装置の温度条件とサンプリング条件を変えること(ダブルショット法)で、同一サンプルから添加剤と高分子材料のように異なった2種類の情報を別々に得ることができ、未知の高分子材料の解析が容易となります。
装置模式図

熱分解装置概略

サンプルを測定用カップに入れ、加熱炉上部から加熱炉の中心へ自由落下させることで瞬間的な熱分解を行います。
分析例
ステップ1 発生ガス分析(EGA : Evolved Gas Analysis )
ポリスチレンが揮発性有機化合物と共に溶解しているサンプルを用いて発生ガス分析(EGA)を行いました。
試料を連続的に昇温加熱することにより、その中に含まれる揮発性成分に続いてポリスチレンの熱分解による分解成分のガスの発生が確認できます(図1)。この発生ガス曲線から揮発成分の気化温度やポリスチレンの熱分解温度を推測することができます。

ステップ2 高分子材料の同定
図1より揮発性成分は50℃~200℃まで昇温加熱することにより測定(熱脱着測定)ができ、ポリスチレンの瞬間加熱温度は550℃付近が適当であると推測できます。50℃~200℃で熱脱着測定を行った結果、Tetradecane及びHexadecaneが検出されました(図2)。その後、引き続き550℃での瞬間加熱によって分解した成分を測定(熱分解測定)した結果、ポリスチレンの分解成分であるスチレンモノマー、ダイマー、トライマーが検出されました(図3)。一方、昇温加熱を行わず、550℃で熱分解測定のみ(シングルショット)を行うと、全成分が一度に検出され、揮発性成分とポリスチレンの分解成分との見分けが難しくなります(図4)。
このように、加熱条件を変えて2段階に測定(ダブルショット)することで、揮発性成分とポリスチレンの分解物成分を分けて測定することが可能とります。

