NMRを用いてフッ化物イオンの定量分析が可能です。
概要
リチウムイオン電池の電解液主成分であるLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)は、水分との反応で加水分解を起こし、フッ化物イオンを発生させることが知られています。本資料では、対象化合物の標品を用いずに絶対定量が可能な19F-NMRを用いて、電解液(1M LiPF6 , EC:EMC = 3:7 v/v)の大気曝露によって生成したフッ化物イオン濃度を評価した事例を示します。
大気曝露電解液中のフッ化物イオン濃度評価
分析の概要
大気非曝露条件下で調製した電解液を、湿度70%RH・気温17℃の大気中に11時間曝露し、生成したフッ化物イオン濃度を19F-NMRを用いて評価しました。またフッ酸を含んだ溶液はガラスを溶出させるため、本分析ではPTFE製の試料管を用いて磁場調整を行うことで定量分析を行いました。
測定データ


分析結果
大気曝露11時間後のスペクトルでは、-75ppm~-85ppm付近と-185ppm付近にそれぞれLiPF6加水分解物及びフッ化物イオン由来のピークが観測されており、長時間の大気曝露によってLiPF6の加水分解が進んでいることが分かります。また、試料に添加した濃度既知の内部標準物質由来ピークとフッ化物イオンピークの面積比を比較して定量を行った結果、大気曝露11時間後のフッ化物イオン濃度は2.79 wt%であることが分かりました。
※NMRによる定量方法の詳細は「分析事例C0695 NMRを用いた製品中のNMN含有量分析」を参照ください。