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分子動力学計算によるリチウム硫黄電池正極中のリチウムイオン拡散挙動評価

組成・温度を変えてイオンの拡散挙動を予測・評価することが可能です。

概要

二次電池の充放電反応はイオン移動に強く依存しており、電極・電解質の開発設計にはイオン拡散特性の把握が重要です。この特性を評価するため、拡散係数が広く用いられます。本資料では、高い比エネルギー密度を有する次世代二次電池として注目されるリチウム硫黄電池の正極材料であるアモルファスリチウム化硫黄LixSのリチウムイオン拡散挙動の計算事例を紹介します。分子動力学計算では組成・温度を変えたときの拡散挙動の予測、局所構造変化の評価が可能です。

データ

LixSモデル(充放電の反応式 S + xLi+ + xe ⇆ LixS)

SOC: 充電率(State of charge)

図1 LixS構造

それぞれSOC水準80%、50%、0%に相当するアモルファスLi0.4S、LiS、Li2Sのバルクを作成し、様々な温度に対するLiの拡散係数を分子動力学計算より求めました。

拡散挙動

表1 Li拡散の活性化エネルギーEa、温度300 KにおけるLiの拡散係数D

Li0.4SLiSLi2S
Ea [eV]0.300.620.49
D [m2s-1]2.6×10-127.7×10-173.4×10-15

Liの拡散係数はLi0.4S > Li2S > LiS となり、Li量と単純に相関しません。

図2 Liの拡散係数Dと温度Tの関係

図3 Li2S結晶構造(逆蛍石構造)

図4 Li周囲のS配位数の分布

Li2S結晶と同様であるS配位数が4のLi原子割合は、LiSの組成で最多となりました。

Li増加(放電)過程でのLi拡散挙動に関して、下記が示唆されます。

・Liの拡散係数は、初期段階(Li0.4S→LiS)では、Li増加に伴い減少する

・LiS組成ではS配位数が4のLi、すなわちLi2S結晶核にトラップされるLiの増加により、Liは拡散しづらくなる

・その後、さらなるLi増加に伴い、Li2S結晶核にトラップされないLiが増加し、Liは拡散しやすくなる

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イオン拡散挙動の予測、局所構造の評価は電池材料設計に有用な情報を与えます。

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MST技術資料No. C0744
掲載日
測定法・加工法 計算科学・AI・データ解析
製品分野 二次電池
分析目的 熱物性評価

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